







( INTERVIEW )
生産者インタビュー
( INTERVIEW 04 )

PROFILE
滋賀県生まれ。地図を作る会社に勤めた後、自分の人生を一度ゆっくり考えようと、半年かけて中国、ネパール、インド、アフリカなどの海外を巡る。そこで出会った、生きるために必要な食料を作って食べる人たちのシンプルな生活に憧れ、自分も食べ物を作って、それを食べ、当たり前の自然を感じる生活がしたいと思い就農。北杜の有機農家で研修後、2008年に独立。現在は八ヶ岳やさい倶楽部に所属しつつ、少量多品目の栽培をしている。
● 独立就農:2008年
● 現在の農地面積:3ha
● 現在の栽培品目数:約40品目
● 従事者:ご夫婦、パートさん7名(袋詰め6名、畑1名)
前職を辞めて海外を旅行してまわった際、アフリカで現地の暮らしを見て、「ああ、こういう感じがいいな」って思ったんですよね。みんな、生きるのに必要なことしかしてないんです。お腹が空いたら狩りに行ったり、魚を釣ったり、野草を採ったり。そんなに忙しくしていない。
日本人って、10km先に行くために車を買うじゃないですか。でも車を買うためには何百時間も働かないといけない。なんか、直接行けば早いのに、すごい回り道してる感じがして。向こうの人たちはもっとストレートなんですよね。なんか、人間的で良いなって思いました。
でも、そこにずっと住みたいわけではなかったんです。やっぱり日本の方が自分には合ってるなと思って帰国して、じゃあ日本でその感覚に近いものってなんだろうって考えた時に、「食べるものを直接作る農家」がいいと思ったんです。それで、農家になろうって決めました。
最初はネットで調べて、農業人フェアに行きました。研修したい人と、受け入れる農家が集まる場ですね。そこで何軒か話を聞いて、北杜の梶原農場に行ってみようと思ったんです。日野春駅で降りると甲斐駒ヶ岳が見えて、畑に行ったら八ヶ岳がバーンと広がっていて。“ああ、ここにしよう”って思いました。
研修先の梶原農場では、少量多品目の有機農業を学んで、1年で独立しました。独立後は、大変お世話になった大家さんの元町工場に住みながら農地を探しました。このあたりでやろうって決めていたので、農業委員さんに挨拶に行って、「畑ありませんか」って聞いて、最初は3反くらい紹介してもらえました。その後も、「畑借りたい」っていろんな人に言い続けていたら、人づてで増えていって。ちゃんと地域の人と付き合っていれば、少しずつ広がっていく、そんな感じでした。

今は「八ヶ岳やさい倶楽部」っていう有機農家が集まるグループに入っていて、共同出荷をしています。少量の人が10人以上集まれば中量くらいになるし、1人だと欠品も出るけど、みんなでやれば補い合える。今は12世帯のメンバーがいてお互い協力しながら運営しています。
効率を考えると、品目を絞った方がいいんです。 だから毎年、1〜2品目ずつ減らしたりしています。でも、好きだから残してるものもある。トマトとか、めちゃくちゃ手間がかかるけど、好きだから残しています。
それに、今の売り先としても、いろんな野菜があった方が喜ばれるんです。例えば小松菜だけを1,000袋は、やっぱり買ってくれない。 色んな野菜があった方が売り場として面白い。
あとは怖さもありますね。 4品目くらいに絞って、そのうち1つがコケたらどうするのって。今は40品目くらいやってるんですけど、「これダメでも、こっちがある」ってなるから、売上がガクッと落ちにくい。だから、「来年はもうこの品種はやめとこう」と思っても、次の年になったらやっぱり種を撒いてしまう。体に染み付いているのかもしれないですね。

今、自分がすごく大事だと思ってるのは、畑をつないでいくことです。
種をまいたら野菜ができるって、よく考えたら魔法みたいな話じゃないですか。でも、それって誰かがずっと畑を守ってきたからできることなんですよね。何千年も続いてきた文化みたいなものだと思ってる。だから、こんなすごい土を、自分たちの世代で終わらせちゃダメだなって。
もちろん、水耕栽培とか施設栽培を否定したいわけじゃないんです。でも、せっかくいい土があるなら、残した方がいいと思う。
何が起こるかわからないですからね。いつか海外から何も輸入できなくなるかもしれないし、燃料価格が上がったら、有機農業しかできなくなるかもしれない。だから、生きた土をつないでいくことが大事だと思ってます。

北杜のいいところって、やっぱり環境もあるけど、自分はそれ以上に、「いろんな人がいる」ことが大きいと思ってます。これから北杜で就農する人には、グループに入るとか、入らなくても、いろんな農家さんと繋がっておいた方がいいよって思います。
農業って、結局1年1作じゃないですか。自分1人でやってると、1年で1回しか答え合わせができない。 でも、10人いたら10作分の話が聞けるんですよね。
例えば失敗した時に、それが自分のせいなのか、畑のせいなのか、気候のせいなのか、自分1人だと分からない。でも、周りに聞いて、「ああ今年はみんなダメだったんだ」とか、「いや、うまくいってる人いるな」ってなると、「じゃあ自分のやり方だったのか」って分かる。比較対象があるって、すごく大事なんですよね。
うちの場合、グループで毎日出荷場で会うので、気軽に話が聞けるんですよ。北杜全体の有機農家で集まるってなると、年に何回もは難しい。でも、グループに入っていれば毎日会える。
だから、入る入らないは別としても、「この人に聞こう」って思える人を何人か見つけておくのは大事だと思います。それができるのが、北杜のいいところですね。
農業は、たぶん動けなくなるまでやると思います。収入を気にする必要のない農業って、めちゃめちゃ楽しいだろうなって思うんですよ。
好きなものを好きなだけ作って、失敗しても別にいい。 いろんなことを試しながらやる。「失敗してもいい農業」って、めちゃくちゃ良いじゃないですか。いつかそれをやるのが、楽しみですね。

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